K
国土戦略行政書士事務所
KOKUDO STRATEGY LEGAL OFFICE
COLUMN / POLICY

補助金と助成金の違い
── 制度設計から見た
「ほんとうの線引き」

名前は似ていても、所管省庁も、目的も、申請代行できる専門家まで別物です。
制度設計の論理から、両者の違いと使い分けを解説します。

補助金 助成金 使い分け

名前は似ているが、まったくの別物

「うちで使える補助金、ありますか?」というご相談をいただくと、よくこういう会話になります。

相談者:「キャリアアップ助成金ってありますよね? あれは?」
私:「あれは厚労系の助成金で、所管も思想も全然違うんです」
相談者:「えっ、違うんですか…」

「補助金」と「助成金」は、名前が似ているせいで同じものだと思われがちですが、実は所管する省庁も、もらえる仕組みも、申請を代行できる専門家も別です。 自社にとって何を使うべきかを考える前に、まずこの2つの違いを整理しておく必要があります。

本記事では、補助金と助成金の根本的な違いを、制度設計の論理から解説します。

4つの根本的な違い

補助金 vs 助成金 ── 4つの根本的な違い 補助金 助成金 所管省庁 目的 受給の仕組み 資金源 経済産業省・中小企業庁 ほか 厚生労働省・労働局 産業政策(成長・設備投資) 雇用政策(採用・育成・労働環境) 競争的(採択枠あり) 要件充足型(条件満たせば原則OK) 一般会計(税金) 雇用保険料(事業主負担分)
図1:補助金と助成金は、所管省庁から資金源までまったくの別物

たとえば「持続化補助金」「ものづくり補助金」は補助金。「キャリアアップ助成金」「両立支援助成金」は助成金です。代表的なものを挙げると、

  • 補助金(経産系):持続化補助金/ものづくり補助金/事業再構築補助金/IT導入補助金 ほか
  • 助成金(厚労系):キャリアアップ助成金/両立支援助成金/特定求職者雇用開発助成金 ほか

なぜ別物なのか ── 制度設計の論理

両者がここまで違うのは、そもそも国がやろうとしていることが違うからです。

補助金 ── 産業を動かす「呼び水」

補助金は経産系の政策道具です。所管省庁の根っこにある問い:

「どうやって日本の産業を成長させるか」
「どうやって中小企業の競争力を上げるか」

このため、補助金は「成長見込みのある事業者を、競争的に選ぶ」設計になっています。 だから採択枠があり、不採択もあります。事業計画書が問われ、審査委員会が判定する仕組みです。 資金源も一般会計(国民全体の税金)なので、「公金を使うに値する事業かどうか」を説明する責任が申請者側にあります。

助成金 ── 雇用を守る「セーフティネット」

助成金は厚労系の政策道具です。所管省庁の根っこにある問い:

「どうやって日本の雇用を守り、労働条件を改善するか」

このため、助成金は「決められた条件を満たした事業者には、原則として渡す」設計になっています。 採択枠ではなく要件充足型です。要件を満たせば不採択になることは原則ありません(書類不備は別ですが)。 資金源も雇用保険料(事業主負担分)。だから労働保険に加入していない事業者は使えません。「みんなで積み立てたお金を、雇用改善のために還元する」という発想です。

だから「もらいやすさ」が違う

性格の違い ── 補助金はハイリスク・ハイリターン、助成金はローリスク・ローリターン リターン → リスク(不採択/工数) 助成金 確実だが控えめ 補助金 当たれば大きい 要件を満たせば確実/金額は小〜中 採択30〜60%/金額は中〜大
図2:両者は競合ではなく、性格の違うふたつのツール

ざっくり言えば、

  • 補助金は「ハイリスク・ハイリターン」(時間と労力をかけて、当たれば大きい)
  • 助成金は「ローリスク・ローリターン」(要件を満たせば確実だが、金額は控えめ)

という性格の違いがあります。

自社にとって、どっちを使うか

両者は競合するものではなく、両方使うのが基本です。 ただし、自社の状況によって優先順位は変わります。

自社の状況別 ── どちらを主軸にするか 自社で今やりたいこと 事業を伸ばす局面 新規事業/販路開拓 設備投資/IT導入 → 補助金が主軸 人を雇う局面 新規採用/正社員化 育休・両立支援 → 助成金が主軸 両方の局面が重なるなら、補助金と助成金を並行で使うのが基本
図3:自社の局面に応じて、補助金と助成金を使い分ける

補助金が向く状況

  • 新規事業・販路開拓・設備投資など、事業を伸ばす局面
  • 事業計画書を書き込める準備時間がある
  • 補助金が入るまでのつなぎ資金(融資・自己資金)を確保できる

助成金が向く状況

  • 新しい人を雇う/非正規を正社員化する/育休制度を整える など、雇用に関する取り組み
  • 労働保険に加入している
  • 雇用契約書・就業規則など、労務管理の基本書類が整っている

実務的には、

  • 事業を拡大する段階:補助金を主軸
  • 人を雇う段階:助成金を主軸
  • 両方の局面が重なるなら:補助金と助成金を並行で

という使い分けが現実的です。

申請代行できる専門家が違う点に注意

最後に、見落とされやすい実務上の注意点です。

  • 補助金の申請代行 → 行政書士・中小企業診断士・税理士など複数の専門家が関わることができる
  • 助成金の申請代行社会保険労務士の独占業務

これは社会保険労務士法で定められたルールで、行政書士や税理士が助成金の申請書を作成・提出する代行業務を行うことはできません。 逆に言えば、補助金と助成金を両方使いたい事業者は、行政書士(補助金担当)と社労士(助成金担当)が連携する体制を取るのが筋がよくなります。

当事務所では、補助金は直接お手伝いし、助成金については連携先の社労士をご紹介しています。

まとめ

所管補助金:経産省・中小企業庁 / 助成金:厚労省・労働局
目的補助金:産業政策(成長促進) / 助成金:雇用政策(雇用維持・改善)
仕組み補助金:競争的(採択枠) / 助成金:要件充足型
資金源補助金:一般会計(税金) / 助成金:雇用保険料
性格補助金:ハイリスク・ハイリターン / 助成金:ローリスク・ローリターン
代行できる専門家補助金:行政書士 ほか / 助成金:社会保険労務士の独占

「補助金で何ができますか?」と聞かれたら、まずは事業フェーズを伺います。 事業を伸ばす局面なら経産系の補助金、人を雇う局面なら厚労系の助成金──という基本軸を持っていると、自社にとっての優先順位が決めやすくなります。

当事務所では、自社の状況に合った補助金の選定、補助金申請の事業計画書作成・電子申請代行、助成金については連携社労士のご紹介、補助金と助成金を組み合わせた資金調達設計まで、一通りお手伝いしています。 「補助金と助成金、両方使えそうか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。

関連記事補助金の審査項目はなぜそうなっているのか
補助金頼みで起業すると詰む理由
採択される事業計画書は、5つの問いに先回りで答えている

「補助金と助成金、どっち?」と
迷ったら

自社の状況を伺った上で、補助金・助成金それぞれの活用可能性を整理します。
助成金は連携社労士をご紹介、補助金は直接お手伝いします。初回相談は無料です。

無料相談を申し込む 補助金サービス一覧