名前は似ていても、所管省庁も、目的も、申請代行できる専門家まで別物です。
制度設計の論理から、両者の違いと使い分けを解説します。
「うちで使える補助金、ありますか?」というご相談をいただくと、よくこういう会話になります。
相談者:「キャリアアップ助成金ってありますよね? あれは?」
私:「あれは厚労系の助成金で、所管も思想も全然違うんです」
相談者:「えっ、違うんですか…」
「補助金」と「助成金」は、名前が似ているせいで同じものだと思われがちですが、実は所管する省庁も、もらえる仕組みも、申請を代行できる専門家も別です。 自社にとって何を使うべきかを考える前に、まずこの2つの違いを整理しておく必要があります。
本記事では、補助金と助成金の根本的な違いを、制度設計の論理から解説します。
たとえば「持続化補助金」「ものづくり補助金」は補助金。「キャリアアップ助成金」「両立支援助成金」は助成金です。代表的なものを挙げると、
両者がここまで違うのは、そもそも国がやろうとしていることが違うからです。
補助金は経産系の政策道具です。所管省庁の根っこにある問い:
「どうやって日本の産業を成長させるか」
「どうやって中小企業の競争力を上げるか」
このため、補助金は「成長見込みのある事業者を、競争的に選ぶ」設計になっています。 だから採択枠があり、不採択もあります。事業計画書が問われ、審査委員会が判定する仕組みです。 資金源も一般会計(国民全体の税金)なので、「公金を使うに値する事業かどうか」を説明する責任が申請者側にあります。
助成金は厚労系の政策道具です。所管省庁の根っこにある問い:
「どうやって日本の雇用を守り、労働条件を改善するか」
このため、助成金は「決められた条件を満たした事業者には、原則として渡す」設計になっています。 採択枠ではなく要件充足型です。要件を満たせば不採択になることは原則ありません(書類不備は別ですが)。 資金源も雇用保険料(事業主負担分)。だから労働保険に加入していない事業者は使えません。「みんなで積み立てたお金を、雇用改善のために還元する」という発想です。
ざっくり言えば、
という性格の違いがあります。
両者は競合するものではなく、両方使うのが基本です。 ただし、自社の状況によって優先順位は変わります。
実務的には、
という使い分けが現実的です。
最後に、見落とされやすい実務上の注意点です。
これは社会保険労務士法で定められたルールで、行政書士や税理士が助成金の申請書を作成・提出する代行業務を行うことはできません。 逆に言えば、補助金と助成金を両方使いたい事業者は、行政書士(補助金担当)と社労士(助成金担当)が連携する体制を取るのが筋がよくなります。
当事務所では、補助金は直接お手伝いし、助成金については連携先の社労士をご紹介しています。
| 所管 | 補助金:経産省・中小企業庁 / 助成金:厚労省・労働局 |
|---|---|
| 目的 | 補助金:産業政策(成長促進) / 助成金:雇用政策(雇用維持・改善) |
| 仕組み | 補助金:競争的(採択枠) / 助成金:要件充足型 |
| 資金源 | 補助金:一般会計(税金) / 助成金:雇用保険料 |
| 性格 | 補助金:ハイリスク・ハイリターン / 助成金:ローリスク・ローリターン |
| 代行できる専門家 | 補助金:行政書士 ほか / 助成金:社会保険労務士の独占 |
「補助金で何ができますか?」と聞かれたら、まずは事業フェーズを伺います。 事業を伸ばす局面なら経産系の補助金、人を雇う局面なら厚労系の助成金──という基本軸を持っていると、自社にとっての優先順位が決めやすくなります。
当事務所では、自社の状況に合った補助金の選定、補助金申請の事業計画書作成・電子申請代行、助成金については連携社労士のご紹介、補助金と助成金を組み合わせた資金調達設計まで、一通りお手伝いしています。 「補助金と助成金、両方使えそうか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
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