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国土戦略行政書士事務所
KOKUDO STRATEGY LEGAL OFFICE
COLUMN / FINANCING

融資面談で
評価される経営者は
何が違うか

銀行の担当者は、面談が終わってから本当の仕事を始めます。
だから社長がやるべきは「担当者が社内で説明するときに使える材料を、置いてくる」こと。
現場で見えてきたことを、まとめました。

融資面談 事業計画書 許認可との整合

銀行の担当者は、面談が終わってから本当の仕事を始める

融資の面談に同席していると、こんな場面によく出会います。社長は「うまく答えられた」と安心しているのに、後日「希望の金額には届きませんでした」と連絡が来る。逆に、緊張で言葉に詰まっていたのに、満額が下りるケースもあります。

この差は、どこで生まれているのか。 カギは、面談のあとに銀行の担当者がやっている仕事にあります。担当者は面談が終わったあと、支店長や本部に「この会社に融資してもよいですか」と説明するための社内書類(稟議書/りんぎしょ)を書きます。融資が出るかどうかは、面談中の受け答えではなく、この稟議書の中身で決まります。

つまり面談は、「担当者が稟議書に書ける材料を、社長から受け取る場」です。この見方ができるだけで、面談での話し方は大きく変わります。

申込書類 受領 面談 材料の受け渡し 稟議書作成 担当者の本当の仕事 支店長・ 本部承認 融資 実行 融資実行までの流れ ↑ 経営者が関わる唯一のポイント
図1:融資の合否は「面談」ではなく、面談後に書かれる「社内書類」で決まる

担当者が上司に伝えたい「3つのこと」

担当者が社内で稟議書を通すには、上司を納得させるために次の3つの材料が必要です。

  1. この事業はちゃんと伸びる、という根拠
  2. ちゃんと返せる、という根拠
  3. この社長は約束を守る人だ、という根拠

書類だけで伝わるのは①と②までです。③は対面でしか伝わりません。だから、わざわざ面談という時間が設けられているのです。

稟議書 に書ける材料 事業は伸びる 返せる 約束を守る 書類で見える 書類で見える 対面でしか伝わらない
図2:書類で伝わるのは2つまで。「約束を守る人かどうか」は面談でしか伝わらない

評価が上がる5つのコツ

1. 数字は社長本人が答える

「売上はどれくらい見込めますか?」と聞かれて、隣の税理士やコンサルを見てしまう社長がいます。これだけで③の信頼は大きく崩れます。 桁を多少間違えてもかまいません。自分の口で数字を言うことそのものが、信頼の土台になります。

2. 売上は「分解した数字」で語る

「来期の売上は1,200万円を目指します」だけでは、担当者は稟議書に書きようがありません。担当者が支店長に説明できるのは、「主要顧客が◯社、単価◯円、月に◯件。新規で月に◯件」のように分解された数字です。 分解して言えるということは、計画が頭の中でちゃんと動いている証拠になります。

3. 自己資金は「金額」より「ストーリー」で渡す

「自己資金は300万円です」とだけ言うのと、「3年間、毎月8万円ずつ別口座に積み立ててきました」と言うのでは、担当者が稟議書に書ける情報量がまったく違います。 前者は数字だけ。後者なら「計画的でコツコツ続けられる社長」という人物像まで添えて書けます。

4. 「他の人もこの事業に賭けている」事実を持参する

予約注文書、契約前の合意メモ、クラウドファンディングの達成実績、取引先からの紹介状──こうした書面は、「銀行以外の人もこの事業を信じている」という証拠になります。 担当者は「判断しているのは自分一人ではない」と思えるので、安心して稟議を上に上げられます。

5. 外部の専門家は「一緒に作った」と見せる

顧問の税理士やコンサルが関わっていること自体は、プラスに働きます。ただし、社長が外部に丸投げしているように見えると、評価は逆に下がります。 おすすめは、計画書のどの部分をどう話し合って作ったかを、自分の言葉で1〜2分話せる状態にしておくこと。これだけで「うまく専門家を使いこなしている社長」に見えます。

面談の前に、必ず確認しておきたい2つのこと

ここまでは面談中の話。でも、面談に行く前に整えておかないと、その場ではもう手の打ちようがないことが2つあります。融資の話に集中していると見落としやすいポイントです。

A. 許可(許認可)のタイミングと噛み合っているか

飲食店、宿泊業、建設業、古物商、産業廃棄物処理業、運送業など、許可がないとそもそも開業できない業種では、許可を取るタイミングと融資のタイミングが噛み合っているかが重要になります。 許可がまだ下りていない状態で融資の話を進めると、「許可が下り次第、融資を実行します」という条件付きになり、最悪の場合、お金が入るのが大きく遅れることがあります。

面談の場では、許可申請が今どこまで進んでいるか(受け付けてもらえたか/修正の対応中か/いつごろ取れそうか)を、口頭で答えられるようにしておきましょう。

○ 整合がとれているケース 許可申請 → 取得 融資申請 → 実行 先に許可を確定 →融資審査がスムーズ × 整合がとれていないケース 融資申請 → 実行(留保付) 許可申請 → 取得 ←「許可取得を条件とする」留保 / 実行遅延 時間 → 時間 →
図3:許可と融資のタイミング比較(上:噛み合っている/下:ありがちなつまずき)

B. 法人化を予定しているなら、借入の引き継ぎを忘れない

個人事業から会社(法人)にするタイミングで融資を考える社長は多いですが、ここに落とし穴があります。 個人時代に借りていたお金を会社に引き継ぐ場合、専用の手続き(債務引受)が必要になります。さらに、許可業種の場合、個人で取った許可は、会社にすると失効してしまうことも見落とされがちです。 面談の前に、「法人化」「借入の引き継ぎ」「許可の取り直し」の3つのスケジュールが揃っているかを必ず確認してください。

面談で印象を下げる、3つのNG

このどれかが面談で出ると、担当者の中で「もう一度社内で持ち帰って検討しよう」スイッチが入ります。

  • 書類に書いた数字と、口で言う数字が食い違う
  • 想定していない質問が来た瞬間、言葉が止まる
  • 「とりあえずお金が欲しい」という言葉が、一度でも口から出る

まとめ

面談の本質担当者が社内で説明する材料を、社長から渡す場
必要な3つのこと①伸びる ②返せる ③約束を守る
振る舞いのコツ数字は本人が答える、売上は分解、自己資金はストーリー
面談前に整える許可のタイミング、借入の引き継ぎ

融資の面談は、社長にとっては年に数回の一大イベントです。でも、銀行の担当者にとっては毎週のように繰り返している日常の仕事。「担当者の仕事を楽にする情報を渡す」──この一点を意識するだけで、面談の質はガラッと変わります。

当事務所では、事業計画書の作成から、許可と融資のタイミング調整、法人化前後の資金まわり、面談前のリハーサルまで、一通りお手伝いしています。融資面談を控えている方は、お気軽にご相談ください。

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